今日は少しだけ遠出したくなって、静岡県の掛川市まで電車でふらっと出かけてみた。普段は仕事と家の往復で終わる日々だから、たまには知らない土地を歩くのがいい気分転換になる。
掛川駅を降りるとまず感じるのは、町全体に漂う落ち着き。ビルが乱立する大都市とは違って、町並みにゆとりがある。歩道を歩いているだけで、呼吸が楽になるような感覚。山から吹き抜ける風がときどきそっと頬をなでて、肌寒さもまた心地よい。
少し歩くと、小さな城郭風の建物が見えてきた。石垣や瓦屋根が昔の暮らしを想像させて、まるで時代を一歩戻したような気分になる。天守らしき場所まで登ってみると、町並みと遠くに広がる緑が一望できて「ああ、来てよかった」と自然に笑みがこぼれる。
お腹がすいた頃に立ち寄ったのは、地元の古い食堂。特別に豪華ってわけじゃないけど、どこか懐かしい味。味噌の風味がしっかり効いた定食に、地元でとれた野菜を使った副菜。外の空気とちょうど合って、ご飯がすっと入る。こういう「土地っぽさ」を感じる食事が、旅の楽しみだと思う。
そして午後は、果物畑が広がる郊外へ。歩道がだんだん細く、畑の匂いと土の感触が混じる。果樹の間をゆるく歩いて、木陰に座ってのんびりと休憩。鳥のさえずりが聞こえてきて、スマホの通知からもスマホの画面からも、少しだけ距離をおいて。こういう時間が、何よりの贅沢だと思う。
ただ歩くだけ、ただ食べるだけ、ただぼんやりするだけ。それが掛川では、ごく自然に成り立っている。忙しい日々を忘れて、軽く肩の力を抜いて、誰にも急かされずに「今この一瞬」に浸る。
そんな旅の終わりが近づいた頃、ふと思った。そういえば、今乗っているバイクのこと。最近はバイクの買取とかなんて言葉をよく目にする。もし、この旅のように気ままに出かけるのが最後だと感じたら、帰ってからオンラインで自動査定を申し込んでみるのもいいかもしれない。見積もりだけでもサッとできるサービスって、意外と便利そうだと思う。
旅の余韻を胸に、また日常に戻る。だけどこの「ほんの少しの非日常」を思い出すたびに、またどこかへ出かけたくなるのだろう。掛川はそんな気持ちを、静かに受け止めてくれる場所だった。